あんな白川を垣間見た翌日だから、きっと俺も気が緩んでたんだと思う。


まさかこの俺が白川とキスしてしまうなんて--…




翌日の放課後、俺はちょっと重い気持ちを抱えて美術室で作品棚を片付けながら白川を待っていた。


ガチャリと音がして廊下を反射した光が足元に伸びてくる。


「おお、白川。呼び出して悪いな」


ペコリとおじぎをする彼女。


西日に照らされた白川は膝丈のスカートをふわりふわりと揺らして近づいてくる。



少しうつむき加減のその姿が妙にしおらしく見えて


(やばい、心が揺らぐ)


と無理やり背を向け視線を棚に戻した。



だって俺は言わなきゃいけないんだもの。