「いませんよ、そんな人」


「なんで?一生このまま俺以外の人にその姿見せないで生きてくの?」


「うるさい」

運転しながら、視界の端で唇を噛み締める白川を確認。


(あと一息)


「たとえば親なんて自分の生んだ子供は無条件で――」


「うるさい!」


「愛情があるって」


「黙れ、この禿げ!」


「……」


「……」


(想像以上です。上手いこと何か地雷を踏んだようです)


助手席からの鋭い視線をものともせずに、「メッキはげたり~」と満面の笑みでガッツポーズをしてみせた。