さっきまであんな『落ち込んでます』的な雰囲気醸し出してたくせに。


(演技か!あれも演技か!)


助手席には「ああおいし」と満足げにチョコのアイスをほおばる彼女。


そして煙草をくわえて、アイスの代わりにひとつ化けの皮を剥いでみようかと画策する教師がひとり。


(俺をなめんなよ)


「お前ってさ、そうやってると普段より可愛いな」


「はい?」


「アイスなんかで幸せそうな顔できるんだもんな。歳相応な時もあるわけだ」


これはあながち嘘でもない。

アイスを頬張っている白川の表情はエセ優等生の時よりずっと優しくて自然でいいと思ったから。

もちろん言ってやんないけど。


「……」


「一応可愛いって言ってんだけど」



「可愛くないですよ、あたし。あたし、顔は可愛いけど、性格可愛くないって自覚ありますから」


(ほらきた天邪鬼)


「お前のこの本性、俺以外の人に見せたことある?」


「ないわよ。あるわけないでしょ」


「誰かに見せてみたら?きっと『そんなキミでいい』って人いるんじゃない?さいわいにも容姿は良いわけだし」