「へ~。そんな事ってあんだ?『無情な女』かぁ。なんか笑える。で、どーすんの、お前」


大学時代からの付き合いの修司はビールジョッキを口に運びながら面白そうに俺を覗き込む。



だって、誰かに話したいと思う程度にはあれは非日常だったわけで。


こんな話をできるのも修司しかいないわけで。



面白がられるとちょっとムカつくけれど、仕事帰りに修二を呼び出したのは俺だから軽く睨むだけにしておく。


「どうするもくそもないよね。くえない生徒がいたってだけ」


そう。きっとそんだけの事なんだけどね。


「ふ~ん。てかさ、俺そういう経験ないから分かんないんだけど―…」


「なにそれ。『俺って一人の女を一途に愛するいい男だから、一晩の女なんて興味ないからわかんないんだけどね』って意味?」



「そこまでの他意はないけどね」と性格のいい修二はふっと笑う。