漆黒から微かに漂う彼女の甘い香りに酔いそうだった。


やっと胸に抱いた黒は見た目よりもずっと柔らかくて。


白川は静かに大人しく腕の中に収まっていた。


「俺、会いたくて会いたくて仕方なかった」


「……」


「何度もこうして抱きしめたかったって言ったら……信じる?」


「……バカ」


「けど…ずっと…我慢してきたのに。……残念ながらバカはお前だ」


どぎれとぎれの俺の本音。


「もう限界だから。ここに来たお前が悪い。もうホントに我慢限界。お前を離せる気がしねェ……」


「……」


俺の背中にゆっくりと回された彼女の腕。


そのしっとりとした感触に酔いしれた。


これが答え。


そしてこもった声が鼓膜をくすぐる。


「ジロー……」