「……すぐに慣れるさ」


きっとすぐに。


「先生、また会えるかな?」


「あ?何ふざけた事を」


「また会えたらいいね。あの一万も返さなきゃね」


「いらねェよ、今さら」


「ビンボーなくせに」


その笑顔に視線が釘付けになってしまう。


「教師と生徒じゃなく出会えてたらあたし達ってどうなってたんだろうね」


「……“もしも”なんてないよ。俺は教師でお前は生徒じゃん」


だから……


きっとこうして離れるのも教師の俺の愛情。


彼女が俺に“這い上がりなさいよ”と言ってくれたから、


俺は生徒であるキミにコレを。


「早く卒業しなさいよ。ついでに俺の事も早く忘れろって。お前みたいのがあんまチョロチョロしてると女できないでしょ。迷惑なんだよね」


わざと小さなため息をひとつついた。