「お前に戦線布告だ」


『え?せんべい?せんべいだったら将門屋のせんべいじゃないと食わないよ、俺』


「……俺、絵描くから」


『え?家買うの?どこらへん?お金貸すぞ、ジローちゃんビンボーだから――』


(聞いてるくせに、どこまでもふざけが野郎だ)


「決めたんだ。もう逃げない。俺は描くのが好きだから」


『ビンボーなくせに?』



「貧乏関係ねぇから。で、賞も狙わしてもらうからきっちりと。嬉しいだろ?」


『嬉しいわけねぇじゃん。バカか。俺はお前がメソメソ泣いてんのが大好物なのによ』


ああ、つまんねぇ、と言うタローは今笑っているのだろうか。


「覚悟しとけ。いつかお前を抜いてやる」


『芸術界なめんじゃねェよ。ずっと描いてなかったお前なんて相手にされねェに決まってんじゃん』


「いつかはいつかだ。こうなったら手加減なしだ」


『何がどうなってお前そんな……あ!エンジェルか!あのエンジェルの影響か!』


(…“エンジェル”って表現どうなの……。てか完全に腹黒堕天使なんじゃ)