でも今……


目の前の作品は確かに黒ずんではいるけれど、


漆黒でもなく、ある程度の形をとどめた作品とまでに修復されている。


「バカタロー……」


タローが直してくれたとしか考えられない。


そしてキャンバスの裏側、右の隅にあるのは―


“これが限界だ。これで許せ”


汚い右肩上がりの走り書き。


涙が溢れた。