「お前だってちょっと前まで退廃的だったくせに、急に希望に満ちた未来を夢見やがって。エセ優等生が」


「あたし自分に対して退廃的でも、彼氏や結婚相手が退廃的で堕落した人でもいいなんて思ったことなかったもん。むしろその逆」


「…それって暗に俺が退廃的で堕落した人間だと――」


「そうでしょ?」


「……」


(……なんのいじめだ。なんの仕返しだ!)


最近の俺は、自分で言うのもなんだが……

恩返しされる覚えはあっても仕返しされる程酷いことはしてないハズ、とちょっと過去を回想してみる。


「なあ、そこの優等生」


「なに?」


「ちょっと確認したいんだけど…今、俺はキミに告白されてる……のと違う?」


「そうよ?なんでか知らないけどね」


(……どうもけなされてる気がしてならねぇ)


5月の赴任したての頃に、将来コイツは『無情な女』になるって思ったけど。
撤回する。


「なんでこんな男を好きなのか分からないのよ、あたしも」


今現在ですでにコイツは立派な『無情な女』じゃねぇか!