「あの、さ……」

ふと前を見るとマグカップに顔を伏せている白川。

その横顔はなぜか照れくさそうで。

「、」


「……これ飲んだら、帰る」


(……照れながら言うセリフでもないだろうに)


「…そう?じゃ送るよ」


「いーよ。ジローに送られて帰ったらお母さん、倒れちゃうよ。あたし、優等生だし」


「“エセ”だけどねぇ」


「失礼しちゃう。……ていうか、夕べ先生がベットに運んでくれた後に友達のトコに泊まるってメールしたから。先生と帰ったら変でしょ?」


「……お前起きてたのか?」


「起きてたような、起きてないような……。あ、お姫様抱っこは初体験だったけど、思ってたよりいい感じだったな~。……なんか色々ありがとう、ジロー」


(……完璧起きてたんじゃねぇかよ!)