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修司と香織の結婚式当日。


ホテルのラウンジで早々にビールを飲んでいた俺のケータイが鳴った。


『ちょっと話せる?』



教えられた部屋の真っ白で重たい扉を開ければ真っ白なドレスに身をつつんだ香織が笑顔で迎えてくれた。


「親族の待合室に行く前に話して置こうと思って」と


「修司にはまだ言ってないの、あのこと。一生黙っていていい?」と


聞いてくる香織はきっとまっさらな気持ちで修司の元に行きたかったんだと思う。


だから「バカだな。死ぬまで黙っとけ」と笑い返してやった。


「……なぁ、香織ごめんな?あん時、俺ちょっとおかしかったんだと思う」


だから気にするな、と自嘲気味に言うと香織は首を横に振った。


「ジロー、いろいろあったからね。……私はさぁ、そんなジローが気になってしかたなかったんだよ。それが恋って思った時期もあったけど。そうじゃないって思うこともあって」


「、」


「でも確かなのは、いつも気になって仕方なかった。本当は寂しがりなくせに強がっちゃって。欲しいものも欲しいって言わないから。全然幸せになってくれないから心配になっちゃうんだよ。私が幸せにしてあげなきゃって気にさせられちゃったんだもん」