ホテルの中は外観よりもさらに安っぽくて。


窓の外に掛けられたネオンに照らされた部屋で、俺たち……少なくとも俺は後悔してた。


こんなハズじゃなかったって。


もっと激しく香織を欲してたと思ってたけど、


今思うのは修司の事。


あんな真っ直ぐなヤツを傷つけていいのかって事。


そして香織のケータイが鳴った。


「あ……修司からだ」


俺を見詰める香織の強い視線。


どうするのか選択を迫られた俺は、耐えられなくて自分から目を逸らしてしまった。


「もしも~し?」


優しげな香織の声がピンクに光る部屋に響いた。


「あ、今?今はね――」


「、」


ここで全てが終わり。


俺の出した答えは――


「おう、修司!俺もいるんだぜ~。飲みに行こうぜ」


通話を終えて、奪い取ったケータイを差し出された香織の手に乗せた時


「弱虫ジロー。いくじなし。いつまでも幸せになれないよ、そんなんじゃ」


と笑われた。