「あ、ごめん!こっち運んで?」

「うい~!カオリンただいま~」と目じりをたらした修司を香織と二人で靴を脱がせ、寝室のベッドに転がす。


ガタイのいい修司を香織一人じゃ運べないのはいつもの事で、こうして俺が手伝うのもいつもの事だった。


寝室のドアを閉めてもまだ修司の「カオリ~ン」という声が聞こえて笑えるのもいつもの事。


「ジロー君、ごめんね?修司なんでこんなに酔っぱらったんだろ?この人そんなに飲んだの?」


「ええ。もうそりゃ浴びるほどね。奥さんが冷たいから浮気しようかなとか言ってたぞ」


ふざけた俺を香織は「あらそれは大変」と軽くあしらい笑顔を見せる。


香織の笑った顔で空気がふんわりと柔らかくなった気がした。


香織は笑顔で「白川さんもどうぞあがって?」と玄関に立ち尽くす彼女に声をかけるとリビングに向かう。