すかさず『ちょっと!私がいるでしょうが。うちの娘に手ぇ出さないでね』

ユカリさんが見事な客あしらいを見せてくれて。

酔っ払いサラリーマンはたじたじになっていたけど。

そう。前だって、いつもこうしてユカリさんがそっと白川を守っていたのを知っていたし、任せておけば大丈夫なのは分かっているのに。


「、」


なぜか落ち着かない気持ちを持て余す。


へ~、と修司が声をあげた。

「娘なんだね、あの子。似てると言えば似て――」


ビール片手に修司がそう呟く。


「違うよ」


「だって娘って言ってたじゃん」


「そんなん『娘みたいなバイトの子』って意味じゃん。アイツちゃんと親いるもん」


「あ、そうなの?…てか、あれ?」


「あんだよ?」


「……なんでお前そんな事……。え?あ?」

「、」


修司の視線が白川と俺の間を行き来する。


そして――


「あああああ!!ぐぇ!」


修司が俺を指差し、俺は修司の大声を阻止すべくその大口におしぼりを突っ込む。