「んー…、じゃあ今日はバラで」




病院の近くの花屋で、一輪のバラを買う。



毎日のように立ち寄る花屋の店員とは、もう顔なじみになってしまった。



キレイだけどシンプルなラッピングは、綾ちゃん好みだと思う。




そして今日も俺は、病院に向かう。




病室の白いドアを開けるのには、いつだって勇気がいる。




綾ちゃんが目を覚ましますように。



ただそれだけを願って戸を押した。




だけど綾ちゃんは、今日も眠ったまま。





…いったい、どれだけの月日が経ったんだろう。