「羽海」
「ん?」
「羽海」
「なに?」
「羽海…」
「もう、何?」
呆れたように笑う羽海。
「うるさい。……確認してんだよ」
「確認?」
「お前がいる、って」
俺の言葉に顔を赤くしながらも、俺の背中に回した手に力を込めた羽海。
「あたしは、ここにいるよ。…ずっと、晴斗の隣にいる」
思いもよらない台詞に、目に滲んだ涙を上を向いて堪える。
見上げた空は、雲ひとつ無い快晴で。
海と空との境界線がハッキリと見えて。
「羽海。…好き」
「うん。あたしも好き」
「もう、離れないで」
「うん。離さないで…」
1つ言葉を交わすたび、お互いに力を込める腕。
「もう、苦しいよ」
「羽海だって」
見つめ合って、笑う。