みんなが出て行った部屋で1人、立ち上がれずに呆然としていた。
時計の秒針が、やけに大きな音をたてる。
ハッと思い出し、今まで全く開けていなかった引き出しを開いた。
一番奥にあったアルバムを引っ張り出す。
恐る恐るページをめくると、小さい海來と俺の遊ぶ姿。
でもそこに“その子”らしい人は写っていない。
何枚もページをめくり、8ページ目で手を止めた。
「こ、れ…」
他の写真と同じく、サッカーボールを蹴り合う俺達。
その後ろの木陰に、海來によく似た女の子。
少し日に焼けた海來とは違い、透き通るような白い肌。
明るく笑う海來とは違い、寂しそうな瞳。
幼いながらも“美少女”だった。
“可愛い”というより“綺麗”。
「この子……どこかで…」