「一緒に遊ぶ?」





海岸で海來とサッカーボールを蹴り合っていた雲井晴斗。



ボールを追いかけて木陰まで来た彼の笑顔に、しばらく見とれていた羽海は、




「あ、遊ばない…!」





と言って走り逃げた。



心臓が脈打って、顔が火照るこの気持ちを、


きっと彼女はまだ恋だとは知らなかっただろう。




それから、話しかけることはできなくても…。



海岸で海來と遊ぶ晴斗の笑顔を、羽海は木陰から見ているだけだった。





愛されなくても、それが普通で。




そんな彼女は、晴斗を見ていられるだけで幸せだった。