【雲井晴斗side】
「最近元気ないわね」
その言葉は、聞き飽きるくらいに言われた。
だけど、母さんにまで気付かれるとは。
…いや、母さんだから気付いたのかもしれないけど。
「…あのさ、海來って覚えてる?」
海來に再会したことは、親には言っていなかった。
「…覚えてるわよ、海來ちゃん。可愛い子だったわね」
懐かしそうな表情の母さん。
もしかしたら、何か知ってるんじゃないかと思って。
だけど、人の隠している過去を勝手に探るのはどうかとも思った。
「海來に、会ったんだ」
ごめん、海來。知りたい。
好奇心とかじゃないから。
興味本位とかじゃないから。
ただ、守りたいだけだから。