家に着くまで、一言も会話を交わさなかったあたしたち。
家に帰ってからも、あたしは自分の部屋に入ったままリビングには降りなかった。
だけど、喉は渇くもので。
あまり音をたてないように階段を降り、リビングのドアの前で立ち止まった。
すると、中から聞こえてくる会話。
もう夜中なのに、おばさんはまだ起きてるの?
そう思って耳を澄ます。
「…そうなのよ。だから、お願い。海來ちゃんを引き取ってもらえないかしら?」
その言葉に目を見張る。
体が強張る。
「…そこを何とかお願い…。あたしはやっぱり、受け入れられない…」
膝がガクガクする。
冷や汗が出てくる。
そうか、もうすぐ…。
あたしはここにいられなくなるのかな。