そして今日も、寂しそうな表情の怜夏に“バイバイ”と言って学校を出た。
「海來」
上から聞こえた低い声に顔を上げると、
「透河……」
透河が、いた。
「話、あるんだけど」
「…あたしはない」
「いいから、来て」
手を無理やり捕まれ、足の速い透河に追いつこうと早足になる。
「ねえ…離して!」
「…」
「透河っ」
「無理」
そして連れてこられたのは、いつもみんなで暗くなるまで話していた公園だった。
みんなと会わなくなってからこの公園は避けていたから、久しぶりだ。
だけど、いつもならいるはずのみんながいない。
「海來が来なくなってから、あんまり集まってないんだ」
「っえ?」
「何で、来ないんだよ」
真っすぐな透河の目を見つめ返せなくて、目を逸らす。
「俺達じゃ、力になれねぇの?」
「っ…透河には、関係ない」
嫌なのに。
思ってもない事を言うのも。
大好きな人達の傷付いた顔を見るのも。