ピンポーン 家のチャイムが鳴り、懐かしいような声が聞こえた。 つい2日前まで、普通に聞いていた声なのに。 「海來ちゃん、お友達よ」 おばさんにドアをノックされる。 「晴斗くんもいるけど……会わないわよね?」 決めつけないで。 会いたい、会いたい、会いたい。 「会わない」 「わかったわ」 ホッとしたようなおばさんの声。 あたしは、ただの臆病者で。 逃げてるだけだ。