たくさん泣いて、思い出していたのは遊園地の観覧車。
あたしはここで、いくつもの嘘をついた。
本当は晴斗のこと、覚えてないんだよ。
本当はお母さん、いないんだよ。
本当は……。
自分を守るための嘘なら、ついても許されるんだろうか。
どっちも欲しいというのは、我が儘だろうか。
記憶が無いと、言うべきだったんだろうか。
きっとそれでも晴斗は受け入れてくれたよね。
優しいから…。
だけどあたし、少しでも晴斗に好かれたかったんだ。
記憶の事を知ったら、少なからず気を使うでしょう?
離れていってしまうかも、しれないでしょう?
“もしかしたら”ですら怖かった。
晴斗と会えなくなっちゃったら、あたしは生きていけないかもしれないよ……。