「バイバーイ」
「また明日ね~」
みんなと別れて、晴斗と2人で歩き出す。
少し振り返ると、透河の隣を歩いている沙妃が“べー”と舌をだして、笑った。
あたしもやり返して、また背を向ける。
晴斗とあたしとの距離は、人1人分くらい。
あたしより半歩だけ前を歩く晴斗の背中を見て、何故だか不意に泣きたくなった。
目に滲んだ涙をカーデの袖で拭う。
何で、泣いてるんだろ…。
悲しいわけじゃないのに。
「…海來」
「っは、い!」
いきなり呼ばれて慌てるあたしを、振り返って立ち止まった晴斗が笑う。
「海來、何か喋ってよ」
「へ!?え……と…」
急に喋れって言われても、何を喋っていいかわからない。
「晴斗が、喋ってよ…」
「……明日、暇?」
「暇……だけど」
「じゃあ6時、最初に会った公園来て」
「それは、みんなで?」
「…海來だけ」
「…うん、わかった」
その後は、何でもないような話をして歩いた。
星が一つ二つと出てきて、あたし達を照らしていた。