「だって沙妃は……」
「もういいから!」
自分でも思った以上の大声が出てしまう。
いつの間にか集まっていた野次馬達にも注目される。
「沙妃?」
「もう……いいってば…」
諦めてるの。
理解してもらおうなんて思ってないの。
ライバルにかばわれるなんて、したくないの。
そもそもあたしは……
海來のライバルになんか、なれないのかもしれないけど。
「いいよ…慣れてるから…」
“男好き”“最低”
いつからか、通りすがりの人の口からその言葉を聞くと、自分の話をしているような気がして。
次々浴びせられる罵声には、もう慣れてしまって。
「慣れたら傷つかないの?」
海來の言葉に、ハッとした。