「はは、バカって酷くね?」
そう言う晴斗は七分丈のジーンズに、白地に黒でロゴが入っている半袖Tシャツを、捲ってランニングっぽく着てる。
腕には腕時計を付けていて、アクセサリーを付けるより晴斗っぽいなって思った。
「うまっ」
「ね、おいしい…」
とは言っても、焼いてくれた怜夏には悪いけど、緊張で味なんかよくわからなかった。
完全なる不整脈を出来るだけ気にしないようにしながらも、もう一枚の牛肉を口に運ぶ。
「はーると!」
高くて可愛い声に呼ばれた晴斗は、
「どうした?」
と言って沙妃のもとへ行ってしまった。
離れていく晴斗の背中を見て、ちょっと寂しくなった。