“どうして海に行っちゃいけないの?” “どうしてそんなに怒るの?” そんな事は聞けなかった。 目頭が熱くなって溜まった涙。 流すことなんかできなかった。 “海”はあたしの記憶に関係があるんだろうか。 だとしたらあの夢も微かに残った記憶だろうか。 考えても考えても答えなんかでない。 散らばったガラスを片付けながら、不意に泣きそうになった。 何でかはわからない。 ただ…哀しい記憶が、あった気がする。