呆然とするあたしに、おばさんはヒステリックな声で叫ぶ。




「海なんか行かせない……勝手に行ったりするんじゃないわよ!」



甲高い声に鼓膜が痛くなる。



「もし勝手に海に行ったりしたら…家から出て行ってもらうわよ」




怖かった。

震えてた。



だけどなぜか、慣れてる気がした。




「ごめんなさい……海なんて行きません!だから…追い出さないでください…」



親戚中をたらい回しにされて、ようやく引き取ってくれたのがおばさんなの。



ここを追い出されたらあたしには、行くところがない。