「ここで問題起こされたら、店出してる人たちにも迷惑だよ?」


胸ぐらを掴まれているにも関わらず
やんわりと笑顔で言う優夜が、なんだか怖く見える。


男も、そんな優夜に驚いたのか
一瞬怯んだように見えた。


その様子を、見逃さなかった優夜が更に詰め寄った。


「謝ってくれる気になった?」


「てめぇ…なめやがって!」


男の拳が勢いよく優夜に向かっていった。



周りが騒然とし、誰もがやっと動こうとした時ーーー



バシッと音がしたかと思えば
優夜が拳を止めた。




「手、出したのはお前だからね」



優夜が低い声でそう言うと
今度は優夜の拳が男に向かう。



「ーーひっ!!」



男の情けない声が周りに響く。


優夜の拳は、男の顔寸前で止まった。