顔すら見たくなくて
目を逸らす。
「ミスコンの子でしょ?投票してあげるからスマイルちょーだいよ」
誰もあんたに投票してもらいたいなんて思ってない。
上からなのにもイライラする。
「お兄さん、その言い方は女性に失礼じゃない?」
男の後ろから
笑顔の優夜が姿を現した。
でも、笑顔だけど……笑顔じゃない。
「は?なにお前」
「オレのことはいいから、この人に謝ってくれる?」
「あ?てめぇに関係ねぇだろ」
男が優夜の胸ぐらを掴んだ。
周囲の人たちも、ただならぬ空気に足を止め人集りができ始めた。
その場にいた誰もがマズイと思いながらも、止めに入るのに躊躇っていた。