「空いたから来たんだけど」
その言葉に体の一部がピクリとする。
〝彼女に予定があって、陸の時間が空いた〟
それだけのこと。
私はまた……何を期待して…
「私がこの時間に帰って来なかったらその空いた時間も意味ないじゃない」
「そうだな」
そう言って陸は薄ら笑いを浮かべる。
「連絡くらいしてよ」
「今から行くよってか?」
「……」
馬鹿にしたように笑う陸に何も言えない。
「お前、期待するんじゃねぇの?」
「なんで私が……」
「今日のことは偶然だ。お前がいつも通りに帰ってくりゃ会わなかったしな」
会いたいから来た
とは言ってくれないんだ……