講義を真面目に受けるタイプではないけれど、優夜が隣だと講義の内容すら耳に入ってこないのは今に始まったことじゃない。


「本当今日は一段と機嫌悪いね〜」

「……」

「昨日何かあった?」

「……」

「姫乃はいつも無表情」

「……」


そんなの私が一番よく分かってる。


「でも、その鉄仮面が崩れることがあるのをオレは知ってるよ?」


優夜は机に伏せている体を起こし
私との距離を縮めてきた。


優夜は軽くて、全てにおいて本気は出してないような男。

だけど、誰よりも周りのことに鋭い。




「今日も陸と会うの?」

「ーーー!?」