「強情ね、アンタも。
ちょっと私の代わりしてくれるだけで大金が手にはいるのに」
その、ちょっとだけ姉の代わりをするのが俺にとっては最大の屈辱なんだが…。
「どうしよっか、諭吉?アンタ、バッグに変わりたいかしら?」
「イヤダヨー、ワシハ
ケントクンノ、モノニナリタイヨー」
姉は一枚の万札と見るに耐えない腹話術の真似事までし始めた、余程、俺に代わって欲しいのか。「…本当に払うの?」
「ええ、ちゃんと私の
代わりになれば…」
このまま断り続けて諭吉が買っても使わないバッグになるのをむざむざ
見過ごすのも…。
「バレないように完璧にしてくれるんだよな?」「当たり前じゃない。
バレたらアンタだけじゃなくて私だってピンチなんだから」
それはそうだ…。
なら、信じてみても…。「…わかったよ。
やってみるよ…」
あくまで諭吉の為だ。
俺がお前を有意義に使ってやるからな。