「その点に関しては
大丈夫、大丈夫」
「随分と余裕ね？
なんでなんで？」
なんでと言われても理由を話せない。
ましてや祐実さんには。少しだけ接し何となく人となりがわかる。
多分、いや、確実に口が軽い。
常に話の種を探しては
それを口にする、そうゆう人だと思う。
「それは…秘密。
秘策があるんだ」
「ええー、気になる！」祐実は口を尖らせ、駄々っ子の様に教えて教えてと腕にすがりつく。
「無理！」
姉の代わりにケンカ慣れした弟にタイマンはらせるとか有り得ない秘策。「席座ろ？ホームルーム始まるよ」
由衣さんの言葉に祐実さんはチェッと残念そうにしげしげと席へと戻ってゆく。
…で、姉の席は？
「里緒菜ちゃんの席は
彼の隣」
由衣さんが耳元で教えてくれる。
彼ってゆうのは？
由衣さんの視線を辿ると背丈の大きな短髪ツン
ツン頭の男。
眼孔の鋭さや雰囲気から察するに…彼も自分同様にケンカ慣れした人間だろう。
「彼は剛力隼人君って
いって、ちょっと不良じみてるけど悪い人ではないから」
不良なのに悪い人では
ない？
昔ながらの番長タイプってところだろうか。