「お…はよ、祐実」
出来るだけ自分が出せる高音域の声で挨拶してみるが…やはり限界とゆう壁が立ちはだかる。
「うわ、どうしたの?
声低いよ、まるで男の
裏声みたい…」
ギクッとしつつも「か、かか、風邪ひいて…」と姉の言い訳をそのままに誤魔化す。
「そうなんだ、あんまりこじらせないようにしないとね、それよりさ
昨日、電話で言ってた事って本当?」
「で、電話?」
困った、電話したのは
姉だ…。
なんの件で電話した?
俺が姉に変装して登校は由衣さんだけにしか話していないはずだ。
「本当だと思うよ?」
「何で他人行儀なのよ
里緒菜の身におきた事件でしょ?」
「う、うんうん…大変だよ、うん」
ヤバい、これ以上話すとぼろが出る。
「な、なんの話?」
たまらず再び由衣さんが助け船を渡す。
「ああ、何か昨日の帰りにヤンキーの彼女に絡まれて今日タイマンする
はめになったんだって。理由がちょっとウケるんだけどさー」
あ、その件なら俺の方が詳しいかと…。