事の顛末を説明するなら昨日の出来事を話さなくてはならないだろう。
それは普段と変わらない日である筈だった。
姉が絶望感に打ちひしがれた表情で帰ってくるまでは…。
大体、学校から帰ってくれば部屋に向かうのに
その日に限ってリビングに居座り、その表情で俺を凝視する。
堪えきれず「ど、どうかしたの?」と訊くと水を得た魚の様に姉は話し始めた。



学校が終わり、姉は例の如く繁華街をウロついていた。
すると一人の他校の男子生徒が話しかけてきた。そう、ナンパだ。
顔は姉曰わく「なんかさ進化の過程をいくつかをスッ飛ばして進化しちゃいました、ウッホホー!な顔」…つまりゴリラ顔と言いたいらしい。
勿論、姉の理想は高い。だからこそゴリラ顔の男など眼中にないが、あまりのしつこさから数分間だけ相手をしてやった。姉にしては珍しく優しいまるでボランティアの
つもりだったのか。
だが慣れない事はするものではない、偶然にも
その現場をゴリラ顔の
彼女に見られ、詰め寄る女にゴリラ顔は「この女がしつこくナンパしてきたんだよ」と言い訳したらしい。