階段を降りて行くと母親と由衣さんが和やかに
話している。
「由衣ちゃんが迎えに来てくれるなんて小学生の頃を思い出すわね」
「あっ、里緒菜ちゃん
おはよう」
由衣さんは全てを理解しているとゆう話だが俺を姉の様に接してくれている。
あるいは本当に姉だと
思っているか。
「あ…」
つい声を出してしまいそうになるが母親の前で
喋ったら俺が健人だと
バレてしまう。
そうなれば残された応えはにこやかに会釈する
しかない。
「何なのよ、由衣ちゃんがおはようって言ってくれてるのに」
「良いです、おばさん。里緒菜ちゃん行こう」
「じゃあ、由衣ちゃん
宜しくね。
行ってらっしゃい」
「はい、ありがとうございます」
由衣さんは礼儀正しく
頭を深々と下げる。
姉とはえらい違いだ。
ともあれ喋らず頷きだけで何とか切り抜けた。
「おはよう…、えっと
健人君だよね？」
改めて由衣さんは訊く。どうやら由衣さん自身も迎えに来た時、里緒菜なのか健人なのか半信半疑だったらしい。
それほどまでに似ているのか…。
そういえば母親ですら
気付きもしなかったし。恐るべし一卵性。