けたたましい騒音が耳の傍で鳴った。
驚きの声をあげたがそれすらかき消されかねない程にうるさい。
「はあ…ビビった…」
騒音の元凶、目覚ましを消してもまだ耳なりが
治らない。
「ちゃんと起きれたわね感心感心」
ドアを開け姉は頷く。
寝た時、耳から多少は
離していたはずなのに…寝静まった後に耳に近付けたな…。
「あんな騒音で起きなきゃ死んでます」
「ホラ、顔洗ってヒゲ
剃ってらっしゃい」
「俺、あんまりヒゲ濃くはないんだけど…」
「濃かろうが濃くなかろうが向井里緒菜にヒゲ
生えてるなんて噂たったらアンタ酷いわよ」
T字ひげ剃りを健人に
手渡すと洗面所まで背中を押す。
男ながらあまりひげ剃りをした事はない、無精髭なんてのに憧れる位に
ヒゲが薄いからだ。
ひげ剃り慣れていない
からこそカミソリ負けしないように気をつけなければ…、絆創膏貼る必要になろうものならば姉に何を言われるか。