ジョリジョリとすね毛を剃りあげる音が風呂場に響き渡る。
すね毛をムダ毛として
処理するなど初めてだ。更に脇毛まで剃れなんて身も心も女になれと言うのか?
考えてみれば俺の人生は姉に振り回されてばかりだ。
高校を退学になったのも姉が原因だ。
俺は中学高校とボクシングに打ち込んでいた。
キッカケは姉の「ホラ、私って可愛いじゃない?誘拐とか変質者とか怖くて満足に出歩けないわ。だから身近に私を守ってくれるボディーガードが必要よね」との一言。
キッカケはどうあれ
ボクシングは見る見るうちに上達し、拳でご飯を食べていけるのでは?と思える程だった。
しかし、その夢は姉に
摘まれた。
ただ単にボクシングを
始めたキッカケの仕事を果たしただけだ。
先に手を出したのは俺でなくても相手は全治1ヶ月の怪我を負った。
そして俺は高校退学。
ただのしつこいナンパ
だった、軽くあしらえばいいのに…近くに俺が
いるからって呼ぶなよ。


「痛っ」
脇毛が剃刀に絡まり数本抜けた。
こんな痛み、もう二度と経験したくない。