結局2つになった買い物袋と、仕事用のショルダーバッグを抱えて家へ向かう。


だいぶ日が長くなったとはいえ、2月初旬の寒さは私の体を足元から冷やしていく。


「寒…っ」


自然と独り言が出たが、もはやこの際どうでも良いように思えた。こんな片田舎だ。どうせ誰も聞いていない。


そんな事よりもとにかく寒くて、頬がピリピリと感覚を失っているようだ。


買い物袋を地面に置き、緩んでいたマフラーを頬の3分1が隠れるほどの高さで巻き直す。


もう一度袋を持ち上げたところで、向こう側から歩いてくる人影に気付いた。