一袋98円の字が踊る値札を確認すると、私はごろごろとネットに詰められたタマネギを左腕にぶら下げた買い物カゴへと放り込んだ。



仕事帰りの地味なリクルートスーツのまま、所狭しと並ぶ野菜たちの上方でヒラヒラと揺れているチラシに目をやると、ふっくらとした苺のパックを手に嬉しそうに微笑んでいる一組の若い男女が目に入った。



カップルだろうか、それとも新婚だろうか。彼女が手にしている苺と同じような真新しさが感じられた。


私はこんな時、少しだけチクリと胸が痛むのだ。