そして、何故そうなってしまうの
かも今の所は分かっていない。
「…レンさん」
アイカがレンさんを見ると、レンさんは
ただ涙を流すだけで何も言わなかった。
俺とアイカはレンさんを一人にしないよう、
しばらく見守っていた。








レンさんを家までおくると、アイカと
共に川沿いの岸辺に戻って来た。

レンさんは相当ショックを受けていたが、
クイナの為にも研究を続けないといけないと
強がって、俺達を帰らせた。

「…レンさん、平気かな」
気付くと声に出ていた。心なしか震えている。
先程のクイナの様子を見て、俺の心に恐怖が
植えつけられていたからだろう。

「こんな世界に生まれなかったら…」
アイカも悔しそうに涙ぐむ。

俺は睨むように空を見た。
色は変わることなく、俺を
絶望に包んでいるように見える。




ーもしこの世界に神がいるなら。
俺は、あんたを恨みます。

何で俺達をここに生んだんだ?
絶望しかないこの世界に。

いつ死ぬか分からない暗闇の中で
過ごして何で俺達だけこんな思いを
しなきゃいけないんだ。

ー滅べばいい。
光の世界が…




ブワッ

突然空が光った。

「何!?」
思わずアイカを抱き寄せる。
目の前には、さっきよりも遥かに
信じられない光景があった。

ー空が、割れている。

そこから光が差し込んでいる。