空を見てると、分からなくなるんだ。
何故自分が存在しているか。何の為に
生まれ、死んでいくのか。











俺は黒い空を眺めながら、そんな呪文を
心の中で再生し続けていた。

ー自分が生きる意味なんてあるのだろうか。
そんなの一人ずつにあったら、世界が重複して
しまうだろ?不責任な事言いやがって。

こんな世界で、退屈しながら俺は生きていくんだろう。
いや…今まで退屈したことなど無かった。
いつからだろう、そう思うようになったのは。

「はあ…」
俺はため息をつく。
全てがどうでも良い様に思えてきた。
ばたばたと足音が近付いくる。

「シュウ!何してるの?」
俺は彼女と目をあわせたあと、違う方向を
向いた。アイカは怒るように俺の頬をつねる。
「いてぇって!!離せ!!」
「無視するのが悪い」
彼女は手を離したあと、俺に向けて
ニッコリと微笑んだ。

「また考えてたの?」
その視線は、真っ直ぐ俺に向けられている。
「…ああ」

この世界は、ずっと夜のままだ。
大陸は繋がって海はひとつしかないし、
人間も生まれつきなんだか暗い奴らばかり。
木にはアポの実がなっているだけで、後は
墓地のような光景が広がっている。

文献によると、この世界の裏にはもうひとつ
世界が存在するらしい。朝と昼があって、食べる
物が沢山あって、学校があって楽しいらしい。
こことは大違いだ。

ーそして、向こうの世界にも自分がいるらしい。