私は気合いを入れ、理科準備室の扉をノックする。


コン コン――


「どうした?」


あれ?

中からじゃなくて、後ろから声が聞こえる……


パッと振り返ると、私の後ろには永井先生が立っていた。


……っ!!


私はびっくりして声が出ない。


「何か用事があるんだろ?」


目を見開いて永井先生を見ている私は、コクンと頷く。


「何?……あっ、それか」


私の手の中にある化学の答案用紙を見て


「わからない所があるのか?」


そう言いながら、永井先生は笑う。

久しぶりに見る、永井先生の笑った顔。

私は顔が赤くなるのがわかった。

それと同時にすごい早さで心臓がドキドキしている。


「まぁ、入れ」


先生は理科準備室のカギを開け、私を中へ入れてくれる。