だけど


「永井先生に教えてもらったら?」


渚はそんな事を言い出す。


「えっ?そんなの無理だよ!」


永井先生の事、見ているだけでもドキドキするのに。


「だって『わからないので、教えて下さい』って言ったら、教えてくれるでしょ?未来の成績、知っているんだから」


ま、まぁね……

他の教科は出来ても、化学だけは本当に悪いもんね。

永井先生に教えて貰うっていう事は、話し掛けるという事。

でも、そんなの……


「恥ずかしいよ」


好きになってはイケナイ人を好きになっちゃった私は、見ているだけで幸せだった。

だから、話し掛けるなんてムリだよ。


だって、授業中。

当てられた時、答えるのでさえ緊張しているのに……