「なぁ、未来。俺の事……、名前で呼んで?」

「えっ……」

「なぁ、呼んで?」


まっすぐ私を見つめる永井先生。

他の女の人が永井先生の事を名前で呼ぶのは嫌だけど、いざ自分が呼ぶのは恥ずかしい。


「未来……、呼んで?」


今度は真剣な表情で私を見つめる。

永井先生に見つめられ、私はコクンと頷く。


私はドキドキしながら


「……り…りょう……くん」


初めて永井先生の事を名前で呼んだ。

14歳も年上の先生に“くん”もどうかと思ったけど……

呼び捨ては恥ずかしくて出来なかった。


「はい、よく出来ました」


そう言うと、永井先生は嬉しそうに右手で私の頭を撫でる。