「先生?」


戸惑っていると、永井先生は少し腕の力を緩める。

私は永井先生の顔をじっと見る。


「未来がそんな風に思ってくれていた事が……、ヤキモキを妬いてくれた事が嬉しかったんだよ」


永井先生は顔を逸らしながら言う。

その顔は、真っ赤になっていた。


「だから、ワガママでもなんでもないよ。例え、それがワガママでも、未来のワガママなら俺は嬉しいよ」


さっきまで顔を逸らしていた永井先生だけど、今度はまっすぐ私の目を見つめる。


「今、“嫌いにならないで”って言おうとした?」

「うん……」

「俺が未来を嫌いになる事は、これから先も、ないよ。だから、心配するな」


永井先生のその言葉が嬉しくて、涙が溢れてきた。

永井先生は両手で私の顔を包むと、親指で涙を拭ってくれる。