服部「1人じゃあかんねん。」



笹木『えっ?』



服部「俺はな...

津波が来た時波に飲み込まれた。


その時は両親と一緒にいて、
目の前を車や木が流れてくる状態やった
だから生きるために3人は必死に泳いだ。

でもある時急に
波が潮を引きはじめて

流されそうになった俺は
必死に右手で建物の鉄筋をつかんだ

次にパニックになっていた
おかんの腕を左手でつかんだ。


次におやじの姿を確認して
おやじを掴もうとした。



...でも、もう俺の腕はもうなかった。



もしこの左手を離してしまえば
おやじを掴むことはできるが
おかんを死なせてしまうことになる


逆に右手を離して
おやじを掴むことはできるが
三人とも死んでしまう




俺は何もできず
ただおやじの名前を呼ぶことしかできなかった。




...だから、
おかんが教えてくれた誰かを守るために
ある俺の二本の手は
両親もすくわれへんかった。」




服部さんはそう話すと
両手を握りしめ拳をつくり
ぐっと口をつむんだ。