「ちょ、ちょっと待って!!」

その藤谷の叫ぶ様な声と共に肩を掴まれ、後ろに引き戻された。

「ダメだってば!!一緒にエリア移動するときは、移動したい人に触れてなくちゃいけない。じゃないと、それぞれ勝手な所に放り出されて、二度と会えなくなるかもしれないんだから」

藤谷の説明に納得した様に頷くと、藤谷ははぁっとまた深いため息を吐いた。

「まぁいいや。とりあえず何処に出ても文句は無しって事で」

そう言うと藤谷は俺の肩に手を乗せたまま、そっと赤い線を跨いだ。

その瞬間、この草原に来た時と同じ様に、周りの景色がグラグラと不安定に揺れる。

その景色は次第に新たなモノへと変わり、そして目の前に現れた光景に……茫然と立ち尽くした。