「ココがエリアの境界線。ココを一歩でも越えれば、エリア移動が始まる。何処に出るか分からないけど、準備はいい?」

その藤谷の問いには答えないまま、そっと赤い線の先を見つめる。

するとそこには周りに広がっている何処までも続く草原が見えた。

「この先には行けないのか?」

「ああ、行けないみたいだね。ずっと草原が続いているみたく見えるけど、エリアはそこまで広くない。徒歩で何とか移動できる距離だし、あの地平線が見えるのは、多分映像か何かを投影しているだけかも。まぁ、悪魔とやらが作った場所らしいし、何とも言えないけどね」

そう言って藤谷は困った様に笑うと、はぁと小さく肩を落とした。

「……ふ~ん」

そう素っ気なく返事を返し、思い切って赤い線に足を踏み入れようとする。